空気が乾燥する季節です。出火原因の一位は「放火」
“もういいかい 火を消すまでは まあだだよ”
これは、平成26年度の「全国統一防火標語」です。空気が乾燥し、暖房など火気を使う機会が増えるこれからの季節、火の取り扱いには十分気をつけてください。
総務省消防庁の統計によると、平成25年に全国で発生した火災の件数は、前年より3,906件増え4万8,095件でした。1日あたり約132件、約11分に1件の割合で火災が発生したことになります。火災による総死者数は1,625人、負傷者数は6,858人です。最近の傾向は、高齢化の影響もあって、火災で犠牲になるお年寄りの割合が高まっていることです。住宅火災だけでみると、高齢者(65歳以上)の死者数は7割を超えています。
一方、出火原因で最も多いのが「放火」、次いで「たばこ」「たき火」「こんろ」の順です。「放火」は平成9年以降、17年連続の1位で、5番目に多い「放火の疑い」と合わせると火災全体の18.3%を占めます。放火は人が寝静まった夜間から明け方の時間帯に多発していますから「家のまわりに燃えやすいものを置かない」「空き家、倉庫、車庫などはカギをかけておく」「照明器具を設置し、暗がりをつくらない」などを実践するとともに、ご近所と協力して「放火をさせない環境づくり」に取り組みましょう。
また、平成23年6月に全ての住宅で火災警報器の設置が義務づけられましたが、その設置率は全国で79.6%(総務省消防庁、平成26年6月1日時点)にとどまっています。住宅火災で亡くなった人の半数以上は「逃げ遅れ」が原因で命を落としていますから、まだ設置されていないご家庭は、早急に対応してください。
誰もが火災の恐ろしさを知っているはずです。冒頭の標語のように、日ごろのちょっとした心がけが防火への第一歩となります。
悪質な自転車運転者には講習義務 自転車事故が2割占める 高額賠償を負う場合も…
平成27年6月1日から改正道路交通法が施行され、自転車による危険運転や交通ルール違反への罰則が強化されました。具体的には、信号無視や一時不停止、酒酔い運転など、14項目の「危険行為」で、3年以内に「違反切符による取締り」または「交通事故」を2回以上繰り返すと、都道府県公安委員会から自転車運転者講習を受けるよう命じられ、3か月以内に受講しなければいけません。講習時間は3時間、講習手数料5,700円(標準額)が必要となります。
もし、受講命令に従わなかった場合は5万円以下の罰金となっています。なお、14歳以上が対象となっており、違反者の情報は都道府県の警察本部を通じて警察庁に集約されるとのことです。
こうした背景には、近年、大きな社会問題になっている自転車が関係する事故の多発、横行するルール違反やマナーの悪さなどがあります。警察庁の統計によると、平成26年に全国で自転車が関係した事故は10万9,269件(うち死亡事故542件)も発生しており、交通事故全体の約2割を占めています。多くが自動車との事故ですが、歩行者との事故も2,551件起きています。もし、加害者になれば、自転車事故であっても被害の大きさによっては高額の賠償責任を負う場合があります。最近では1億円近い賠償金の判決も出されています。
罰則が強化されたから注意するというのではなく、自転車を利用する際は、自転車安全利用五則(①自転車は、車道が原則、歩道は例外、②車道は左側を通行、③歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行、④安全ルールを守る、⑤子どもはヘルメットを着用)をしっかり守り、安全運転を心がけてください。
新しい感染症やテロへの不安、円安の影響もあって、海外旅行に出かける人が減っているといわれていますが、それでも平成26年に出国した日本人の数は約1,690万人もありました(法務省統計)。
今夏のボーナスは上昇傾向にあり、LCC(格安航空会社)の新規就航や増便、9月には大型連休が控えていることもあって、夏から秋にかけて海外旅行を計画されている方も多いと思います。異国の文化に触れながらの観光やグルメ、ショッピングは、日本では決して得られない貴重な経験となります。その一方で、思わぬトラブルや事故・事件に巻き込まれると、楽しいはずの旅行も台無しになります。
外務省が公表している「海外邦人援護統計」によると、平成25年に日本の在外公館などが取り扱った海外における事故・事件等にかかわる総援護件数は1万7,796件、総援護対象者数は1万9,746人で、死亡者数601人、負傷者数420人でした。
このうち犯罪被害に遭ったのは5,746人もあり、その8割超が窃盗被害(4,660人)です。次いで詐欺被害(433人)、強盗被害(317人)の順となっています。事故・災害では、交通機関事故の件数(143件)が最も多く、また、疾病等による死亡が422人で全死亡者数の約7割を占めています。
海外では、言葉だけでなく、生活習慣や法律も違います。意識を海外モードに切り替え、決して油断せず、安全対策をしっかり行ってください。国・地域別の治安状況などの最新情報は、外務省の「海外安全ホームページ」(http://www.anzen.mofa.go.jp/)で確認することができます。出発前に必ずチェックしてください。また、万一トラブルに遭ったときに備え、渡航先にある在外公館の住所・連絡先を控えておきましょう。
夏に多発! 高速道路での事故
「逆走」が社会問題に…一般道とは異なる事故
夏休み期間中に、帰省や旅行・レジャーなどで、高速道路を利用し、遠出される方も多いことでしょう。警察庁の統計によると、高速道路における交通事故は、7〜8月の夏場と11月から年末にかけての発生件数が他の月に比べ多くなっています。平成26年中の高速道路での事故発生件数は1万0,202件、死者数204人、負傷者数1万8,062人(うち重傷者数787人)です。
最近は「高速道路での逆走」が社会問題になっていますが、高速道路会社6社がまとめた、交通事故や車両確保に至った逆走発生件数は、平成26年の1年間で198件もあり、平成23年からの4年間の累計では739件にもなっています。4年間の事案を分析した結果、約半数がインターチェンジやジャンクションで逆走を開始、65歳以上の高齢者によるものが約7割を占めていました。また、認知症の疑いがあるのは全体の約1割となっています。
高速道路で発生しやすい事故には、一般道路とは異なる特徴があります。さきほどの「逆走」もそのひとつですが、ほかには「中央分離帯を突破」「停車している車や、降車してその近くにいる人に衝突」「車外に放り出される」「渋滞最後尾への衝突」などです。万一、高速道路で故障や事故が発生し、やむを得ず駐停車しなければならないときは、二次的な事故を起こさないことが重要です。発炎筒や停止表示器材を後方に設置して後続車に知らせるとともに、車内に留まらず、必ずガードレールの外側など安全な場所に避難するようにしてください。
高速道路では、たったひとりのドライバーによる、ちょっとした不注意やルール・マナー違反が大きな事故につながることになります。ドライバーの皆さんは、安全な速度と十分な車間距離を保ち、心に余裕を持って安全運転を心がけてください。